蕨 市 内 の 散 策

新幹線が巣立った町(蕨)

読売新聞 朝刊 2013.06.16(日)より


左端の分岐しているのがかっての「引込み線」。
左奥は工場跡に建った川口芝園団地
川口蕨陸橋から  

駅ものがたりシリ-ズ  JR蕨駅

JR京浜東北線の蕨駅(蕨市中央)のホ-ムから延びる6本の線路を北西にたどると、間もなく
7本目の線路が西側に出現する。枕木は懐かしいクリの木。
半世紀前、世界初の新幹線車両が巣立っていった「引込み線」の名残である。
現在は線路などの保守用列車が時折、停車している。
日本で一番小さい市(面積5.1平方`・b)として有名な蕨市。
その北部に位置する蕨駅はかって新幹線の試作車両が始めて線路上を走行した
「新幹線発祥の地」だ。
在来線の線路しかない蕨駅が新幹線ゆかりの駅なのは、世界初の新幹線「0系新幹線」の
製造を担当した車両メ-カ-の一つ「日本車両製造」(日車、本社・名古屋市)の東京支店
蕨工場が近くにあったためだ。
駅から線路沿いに約700b北西の位置にあった工場からは、造った車両をそのまま在来線の線路に乗せられるように引込み線が敷かれていた。
読売新聞 朝刊 2013.06.16(日)より

          



1964年の東京五輪に合わせて開発が計画された新幹線は、日車のほか日立など計5社が
車両製造を担当した。
なかでも日車は、試作車両を造り上げるのが早かった。
蕨工場で新幹線の設計に携わった日車の元社員、荒井貞夫さん(73)は解説する。
「新幹線はそれまでの電車で主流だった直流電源ではなく、より高い電圧を使える交流電源を使うことになった。
蕨工場ではほかより早く交流電源の設備があったため、他のメ-カ-よりも先んじて車両を
完成させることができたのです」
1962年、「A編成」と呼ばれる1000形2両編成の試作新幹線第一号が、蕨駅の線路に
乗った。
日付の記録は残っていないが、4月下旬〜5月初旬とみられる。
線路の幅は、在来線は1067_・b。新幹線は1435_・b。
幅が異なるため、車輪のある「台車」部分を、在来線用のものに履き替えての輸送だった。
新幹線用の台車は、平貨車に搭載されて後を追った。
神奈川・鴨宮駅(小田原市)までの約100`。
これが、新幹線の初めての走行とされる。



NEXT



蕨市内散策へ戻る